売れるヒミツに迫る!! TOPクリエイターインタビュー | kouさん編

Profile

kou(こう)
広告、人物撮影、商品撮影の第一線で活躍するプロのフォトグラファー。企業広告の豊富な撮影経験を活かし、PIXTAでもビジネスイメージのコンテンツが購入者に高い支持を得ている。

PIXTAのクリエイターランキング上位の常連であるkouさんは、企業広告の撮影を多く手がけるプロのフォトグラファー。本業の合間に、月1〜2回PIXTA用の撮影を行なっています。企画に対するコストバランスやタイムスケジュールの考え方等、トップクリエイターならではの制作の知恵が満載です!

撮影アイデアとコストバランス

普段の情報収集は、テレビをあまり見ないので、新聞からが多いです。いろいろな社会問題やビジネスの話題の中から、企画のネタを思いつくこともあります。ただ、面白そうだなと思ったアイデアがあっても、その企画がコスト的に見合うかどうかで実現の可能性を判断します。

ロケーションの難しさやコストがかかりすぎる等の問題で、実際には撮影できない企画も多いですね。コンテンツ数が少ないテーマは、当たれば大きいことはわかっているのですが、そのシチュエーションを作るのに難易度が高いということもありますね。

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ストックフォトでのモデル選び



ストックフォトのモデル選びで気をつけているのは、派手すぎず、清潔感のある人ですね。今はビジネスとファミリーの企画を撮影することが多いので、それに沿った視点でモデルさんを選んでいます。演技力があるモデルさんだと、表情やポーズで多くのバリエーションを撮影することができるので、さらに効率がいいですね。

家族設定の場合は、子役のモデルさんの集中力をキープするのが大変なので、大人のモデルさんは、細かく表情をチェックしたりしなくても安心できる方にお願いしています。ストックフォトの撮影はタイムマネジメントが重要なので、そこを意識してバランスを考えつつキャスティングしています。

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スタッフとのコミュニケーション

撮影をする前に10のことをやりたいと考えていても、撮影が終わったときに7つできていたら良い方かなと思います。撮影中はトラブルもあるし、モデルさんやスタッフを長時間続けてお仕事させたくはないので、僕は必ずシーンとシーンの合間に休憩を挟みます。

あんまり無理強いをしても、良い写真は撮れないし、僕は気に入ったモデルさんには何度もお仕事をお願いしたいので、またお仕事をやってもいいかな、と思ってもらえるようにしたいんです。なので、1回の撮影で無理にシーンを詰め込むのではなく、撮影できなかったものは次の機会に撮影しています。

ストックフォトOKのモデルさんは貴重ですから、長くお仕事をしていきたいので、撮影中のコミュニケーションは特に気を配っています。撮影する人がちゃんとモデルさんのケアをしてあげないと、その場はよくても、長期的に必ず悪い影響が出てきてしまいますからね。

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ストックフォトの撮影は粘っちゃダメ!

ロケでの撮影は、外に出て歩きながらそのときの天気や場所の状況に応じて柔軟に撮影していきます。撮影したい場所に通行人が多かったりした場合も、数分しか待ちません。

ストックの撮影は時間が命なので、そのカットを撮影するために粘ったとしても、その写真が売れるかどうかはわからない。カメラマンが「これはいい!」と思った自信作より、何気なく撮影した1枚の方が売れていることも多いですしね。あまり1カットにこだわって時間をかけすぎないようにしています。

天候がいまいちで、あまり良い写真が撮れなさそうだと判断したら、粘らずにすぐ切り上げてしまうこともあります。普段の仕事の場合だと、悪天候でも、日程が限られているので撮影はやらなきゃいけない。そうすると、撮影現場にクライアントもいるので、与えられた環境の中でベストを尽くしたという前提があるから、納得してもらえるんですよね。一方ストックフォトは、理想的な天候とロケーションで撮影された作品との勝負なので、ダメな天気のときに無理に撮影をしても、結果が出ないんです。それが普段の仕事との大きな違いです。

https://pixta.jp/photo/2506602
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レタッチとタグ付けのオペレーション

しょっちゅう撮影しているテーマは、タグのリストをあらかじめ作ってあるので、それをコピー&ペーストするだけにしています。タグの優先順位としては、ビジネスの場合なら被写体の職種や状況、使っているアイテムなどは必ず入れていますね。なるべく年齢も入れるようにしています。設定を複雑にすればするほどタグ付けに困るので、なるべくシンプルな写真にしようとは思うのですが、シンプルにしてしまうと、すでにPIXTAにある素材とイメージが被ってしまうので、そこのバランスが悩みどころですね。

レタッチはアシスタントにお願いしていますが、僕が指示するのは、ほくろ、シミ、傷など気になるところがあったら消してね、という最低限のことくらいです。大きなゴミがついていれば取ってもらったり、毛穴が目立っていたら少し抑えてもらったり、その程度ですね。企画によって柔軟に対応しています。PIXTAには様々な購入者の方がいらっしゃるので、汎用性があって、好感度の高い仕上がりを心がけています。ストックフォトの中での自分のカラーを常に追求して撮影していきたいと思っています。

ストックフォトにこそビジネスマインドが必要!

ストックフォトは、従来のカメラマンとは180度違うビジネスモデルですね。通常は、編集者や広告代理店の担当者からカメラマンに仕事の依頼がきて、その時点で撮影する内容や支払われるギャランティの金額や時期も大体把握できます。

一方、ストックフォトの場合は自分で企画を考えて、資金を調達して撮影しますが、その企画が売れるもコケるも自分次第ですよね。実は、これは一般的なビジネスビジネスモデルで、企業はまず企画を立てて、マーケティングして、これがきっと売れるだろうと思って商品を作りますよね。採算が取れるかそのときはわからないけど、プロジェクトに予算を立てて実行する。売れれば成功だし、売れなければ、その原因を考える。そこに共感できたので、ストックフォトを始めたんです。

 

自己責任で稼いでいく楽しさがあって、ダメだったときも、自分で納得ができる。僕の企画は、爆発的に売れるタイプのものではないですけど、実はそういう路線を狙っています。経費回収のことを考えて、流行にあまり左右されずに長期的に売れるコンテンツを目指しているんです。大体1年で1回の撮影の経費が回収できる算段なので、撮影の1年後から利益になっていけばいいなと思っています。ただ、今までずっとその方向性でやってきたので、そろそろ違った企画も考えていかないといけないと思っています。試験的に、ちょっと目先の違った企画にも挑戦しているところです。

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